収録現場に立てられたアンビソニック対応マイク

Shizuma vol.1.4 — Sound Theatre

燃ゆる暗闇にて

En la ardiente oscuridad / Antonio Buero Vallejo

Listen

音の演劇作品

盲学校を舞台に、「幸福でなければならない」と言い聞かせて暮らす共同体と、見えない現実を告発しようとする一人の青年。アンビソニック、バイノーラルといった少し変わったマイクで収録した、耳で観る演劇です。ぜひヘッドフォン・イヤフォンでお聴きください。

  • Format音声作品(MP3/アンビソニック、バイノーラルマイクなどによる録音)
  • Length約2時間28分
  • Originalアントニオ・ブエロ・バリェホ
  • Direction辻井彰太(シヅマ)
ReadyBinaural / 320kbps

シヅマ vol.1.4『燃ゆる暗闇にて』

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芸術・文化普及を目的とした演劇作品配信です。
2週間インターネット限定公開(無料)
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Synopsis

あらすじ

ある盲学校では、生徒たちが穏やかな日々を送っている。彼らは目が見えないことを不幸とは考えず、学び、遊び、恋をしながら、互いに支え合って暮らしている。学校には明るく自由な空気が満ち、生徒たちは自分たちの生活に満足していた。

そこへ、新たな生徒イグナシオがやって来る。彼は白杖を手放そうとせず、目が見えないことへの苦しみや、光を見ることへの強い願望を隠そうとしない。周囲の生徒たちが当然のように受け入れてきた生活にも疑問を投げかけ、彼らの幸福を理解しようとはしなかった。

当初は異質な存在として戸惑いをもって迎えられたイグナシオだったが、彼の言葉や振る舞いは、次第に生徒たちの心に変化をもたらしていく。これまで意識することのなかった不安や欲望が表面化し、穏やかだった人間関係にも亀裂が生じ始める。

やがて、学校の中心的存在であるカルロスとイグナシオの対立は深まり、二人の衝突は周囲の生徒たちをも巻き込んでいく。

01 — The Playwright

アントニオ・ブエロ・バリェホについて

アントニオ・ブエロ・バリェホ(Antonio Buero Vallejo, 1916–2000)は、スペイン内戦以後のスペイン演劇を代表する劇作家であり、いわゆる「36年世代」に属する最重要の作家の一人と評価されている。彼の作品は、フランコ体制下の厳しい検閲のもとで、社会批判と実存的テーマを象徴表現によって緊密に結合させた点に大きな特徴がある。

生涯の概要

バリェホは1916年にカスティーリャ地方グアダラハラで生まれ、若い頃から美術と文学に親しみ、当初は画家志望でマドリードのサン・フェルナンド王立美術アカデミーに学んだ。スペイン内戦が勃発すると共和派側に付き、共産党の活動にも関わったため、戦後は「反乱への参加」の罪で死刑判決を受け、のちに減刑されて約6年に及ぶ獄中生活を送ることになる。

1946年に仮釈放されるとマドリード近郊に身を寄せ、雑誌への挿絵などを描きながら、本格的に戯曲執筆へと軸足を移した。1947〜48年頃に執筆した『ある階段の物語(Historia de una escalera)』で1949年ロペ・デ・ベガ賞を受賞し、一躍新しいスペイン演劇を切り開く存在として注目を集める。

その後も『燃ゆる暗闇にて(En la ardiente oscuridad)』『今日は祭日(Hoy es fiesta)』『夜明け(Madrugada)』『ラス・メニーナス(Las Meninas)』『明かり取り(El tragaluz)』『財団(La fundación)』などの重要作を次々に発表し、1950年代には国立演劇賞を複数回受賞する。1971年には王立スペイン学士院会員に選出され、1986年にはスペイン語圏最高の文学賞とされるセルバンテス賞を受賞するなど、生前から国民的作家として位置づけられていた。

フランコ独裁下で多くの作家が亡命を選ぶなか、バリェホはスペインに留まり続け、直接的な政権批判ではなく象徴や暗示を駆使することで検閲をくぐり抜けた「内部抵抗」の作家とみなされる。晩年まで創作を続け、1999年にはほぼ最後の戯曲『Misión al pueblo desierto(荒れ果てた村への使命)』を発表し、2000年マドリードで死去した。

02 — The Play

『燃ゆる暗闇にて』について

『燃ゆる暗闇にて(En la ardiente oscuridad)』についての批評史は、大づかみに言うと次のような流れで整理できる。

  1. ①初演期:技巧的・象徴的な「良質の心理劇」として高評価
  2. ②フランコ体制末期〜移行期:象徴的社会批判としての政治性が強調
  3. ③民主化以後〜現在:記憶・トラウマ・抑圧社会のメタファーとして再読

以下では、時期ごとに批評的な評価のポイントをまとめる。

1950s
初演期 ― 心理劇・象徴劇としての高評価

1960s–70s
フランコ体制末期〜民主化前後 ― 政治的寓意の強調

1980s–90s
民主化以後 ― 「戦後スペインのメタファー」としての再評価

21st c.
21世紀以後 ― 記憶・トラウマ研究との接続

Project

作品形態
音声作品「燃ゆる暗闇にて」
原作
アントニオ・ブエロ・バリェホ『En la ardiente oscuridad』
日本語訳
佐竹謙一訳(水声社刊行『現代スペイン演劇選集―フランコの時代にみる新しいスペイン演劇の試み』収録)
企画制作
シヅマ
演出
辻井彰太(シヅマ)
録音編集
増田義基
ライセンス
水声社
収録方式
アンビソニック、バイノーラルマイクなどによる録音
収録場所
白百合女子大学クララホール
収録日
公開期間
〜
協力
小原花

Cast

伊藤千由李(X・新しいタブで開きます)
エリサ
牧凌平
アンドレス
澤原剛生
ペドロ
百花亜希(note・新しいタブで開きます)
ロリータ
野上篤史
アルベルト
松本一歩(Instagram・新しいタブで開きます)(平泳ぎ本店)
カルロス
毛利悟巳(X・新しいタブで開きます)
ホアナ
井上遙
ミゲリン
宮山知衣
エスペランサ
友野翔太
イグナシオ
佐藤拓之(シヅマ)
ドン・パブロ
鶴牧万里(シヅマ)
イグナシオの父親
木下祐子
ドニャ・ペピータ
石原優子
ナレーション